2017年04月21日

アナグマ、知っていれば見られます!

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左下がアナグマ、右上はキツネ。けんかせずにすれ違った

 日本の中型獣というと、何種類ぐらい思い浮かびますか。外来種を除くと、キツネ、タヌキ、テン、ノウサギ、ニホンザル、地方によってはクロテンやヤマネコ、昔はニホンオオカミやニホンカワウソも。
 そんな中、必ず忘れられるのが、ニホンアナグマです。冬毛のタヌキのようにずんぐりした体型で、同じイタチ科のテンなどとは敏しょうさも違います。昔はタヌキとともに人を化かす正体不明の動物と思われ、「ムジナ」の名で怪談にも登場しました。現在も山間部や牧場周辺などにふつうに生息していますが、鼻筋が白っぽく見えがちなため、最近ではハクビシンに間違われます。
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目は悪いが臆病者で、驚くと速くはないが猛ダッシュ  梅雨の頃、生後1か月ほどの子どもが出てくる

 毎年4月20日頃になると、林の縁でアナグマを見かけることがよくあります。冬ごもりから出てくる時期なのです。目が悪いので、道路端でぼーっとしていたりします。林の中にモグラのような複雑な巣穴を地中に掘り、いつもメンテナンスをするのが趣味。穴の外は心地よい昼寝のためのテラスにしています。出入り口がたくさんあるのは敵に侵入されたときに逃げるためです。
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林の中の岩場をすみかにする親子

 鼻から唇にかけて嗅覚と触角が鋭く、イノシシと同様に、落ち葉の下からミミズを探し出して食べます。昆虫や地面に落ちた果実などもふつうに食べますが、農作物を荒らす害獣ではありません。ところが、あまり知られていないがゆえに、気の毒な命の落とし方をするものもいます。「アナグマがいる」という通報だけで、駆けつけた猟友会の方に撲殺されたりしてしまうことも。
 タヌキがいて、キツネがいて、アナグマがいて、テンがいて……これが山里の健全な中型獣の多様性です。ミミズや昆虫、カエルやネズミなどの小動物を食べ、豊富な資源を分かち合い、微妙にすみわけながら、暮らしているのです。
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2016年07月03日

キツネの食卓

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 キツネが農作物を荒らすといって嫌われることがあります。時期によっては糞の中にトウモロコシやブルーベリーなどが多く見られますが、キツネの主食はネズミやノウサギ、小鳥や昆虫など。植物質だけでは生きられません。
 軽井沢の広い農耕地では、朝は山林へ戻るキツネ、夕方は狩りに出てくるキツネをよく見かけます。ところどころ休耕地になっていて、草原性の鳥がすんでいます。オオジシギ、ノビタキ、ホオアカ、コヨシキリ、セッカなど、よそではみられなくなった希少種や、ヒバリ、スズメ、カワラヒワなどです。
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左からオオジシギ、ノビタキ、ホオアカ、コヨシキリ、セッカ 
 いろいろいること、つまり多様性は、一様性に比べ、生態系を安定させます。ある鳥が何かの原因で少なくなっても、別の鳥が補うようにキツネの食卓を支えます。目につきやすいものが多く捕まり、それが滅びる前に別のものが目につきやすくなって捕まり、その陰で前のものがじわじわと数を復活させる、という動きのある関係です。
キツネ2'.jpg 枯れ草に身を隠し獲物に忍び寄る
 「キツネが増えた」という言う人もいますが、多くは主観的な印象でしょう。家の周囲にたまにしか現れなかった1頭が、何度か続けて来れば、「増えた」と言われてしまいます。キツネにはある程度なわばりがありますし、一カ所で過密に暮らせるほど獲物は多くありません。また、子ギツネのすべてが大人になれるほど、自然界は甘くありません。小鳥もキツネに対応できる警戒心を身につけています。肉食の動物は狩りのために高い技術が必要で、常に飢餓と闘いながら広い範囲を探索して生活しています。
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2016年01月30日

いくつもの頂点

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ノスリ

 食物連鎖という言葉は、複雑に入り組んだ生きものどうしの関係を表すのには単純すぎて、あまり使われなくなりました。食物網という図式・概念の方が多く使われます。しかし、マグロはサンマを食べますが、マグロの稚魚はサンマに食われるかもしれません。種類の名前だけで図を描くのには限界があります。
 「生態系の頂点」という言葉も耳にし、図にはタカなどが描かれています。でも実際には、タカは種類ごとに狙っている獲物が違い、すべての生態系の頂点に立てるようなタカはいません。

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(左)サシバ (右)オオタカ

 ノスリはネズミやモグラを多く食べ、時期によってはカエルやヘビや昆虫もよく捕らえます。サシバは両生爬虫類を多く捕らえますが、昆虫や鳥、ネズミなども食べます。オオタカはヒヨドリやカモやキジなど、中型の鳥を多く捕らえます。ハイタカは小鳥専門。クマタカはノウサギ、ヘビ、ヤマドリそのほか中型の鳥を捕らえますが、食糧が豊かでないときは、雪崩などで死んだ動物の肉にもありつきます。

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(左)ハイタカ (右)クマタカ

 食い分けているからこそ、多くの種類が生き残ってきました。タカの種類の数だけ生態系の頂点があるわけです。頂点の数が多いほど、その場所の環境は獲物の多様性にも富んだ、豊かな生態系といえるでしょう。



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