2021年09月04日

特定外来駆除の現場から

湿原や浮島がある池のほとりに、
オオハンゴンソウ(特定外来生物)がありました。
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一昨年、見つけた1株を抜くのに失敗し、根が残っていたのです。
昨年は咲かなかったのに、今年は突如、30本になっていました。

地下20cmまで掘ると、太い根でしっかりつながり合っています。
土も多めに、約40kgを掘り出しました。
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これでまだ半分です。

クジャクチョウやミヤママルハナバチが、
さかんに訪花・吸蜜していました。
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外来種に費やされたマルハナバチの学習能力や採蜜努力は、
在来種にとっての損失でもあります。
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ハチやチョウに「ごめん!」と言いながら掘り返し、
地面に大きな穴を開けました。
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種子や根が残っている可能性があるので、
場所に目印をつけて、5年先までは監視を怠らずに
注視していきます。




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2020年04月14日

ふるさとの、沈黙の春

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自分と他人・・・人は人のことで精いっぱい。
それでも春は来ていますが、
生物の多様性も急速に失われています。

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早春の休耕田。水たまりの中の黒いのはカエルの卵。

私たちが、アスファルトの道路や冷房や石油を
享受してきたわずか半世紀。
その歴史が地球を温め、直接・間接に
多くの動植物を、絶滅のふちに追いやっています。

人が人に戦争をしかけなければ、
平和なのでしょうか。
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両生類の激減は、目を疑うほど。
産卵のこの時期、あれほどいたヤマアカガエルさえ、
探してもなかなか見つからなくなりました。

池だけ残り、カエルだけいないのです。
「世界」は人間社会だけを意味しません。
人だけが生き残るとか、人だけが絶滅するということも、
地球のシステム上、あり得ません。

ヤマアカガエル予備1.jpg
キャララキャララという、あの賑やかな声が聞かれなくなりました。

生態学が軽んじられ、
災害の起こるしくみや身の守り方を、
自分自身で考える力が育っていないのが
何より恐ろしいことです。

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2019年12月26日

冬の岩場のニッチ

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標高2000mの雪山でも出会うハギマシコ
よくこんな場所を占有したものだと感心する生きものがいます。
深海の熱湯が噴き出す周辺にいる、色のない甲殻類など。
ニッチが空いていれば、そこを独占する種が出てくるのが地球の歴史でした。
種が多様に分化し、進化してくる過程は、特殊な環境に適応できる者の出現を伴いました。
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200〜300羽の群れで飛び回っていることも
ハギマシコは、初冬にシベリアから群れで渡ってきて、草の実をついばむ鳥ですが、
崩壊地や崖の多い山岳に限ってみられます。モルタルの法面にもしばしばいます。
鳥から見れば、岩崖のような環境なのでしょう。
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モルタルの法面では目立ちません(3羽が写っています)

イワヒバリは、夏山の稜線で、登山者の足下にも来る鳥です。
冬は高山を下りますが、やはり岩の多い山塊に限ってすみつき、
鉱山跡地などにもいます。木の枝には頑なにとまらない鳥です。
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山あいの石垣で出会った冬のイワヒバリ
標高が1000〜2000mならハギマシコ、500m前後ならイワヒバリ。
冬の山の崖から飛び立つ小鳥は、まずこのどちらかです。
そのニッチの独占ぶりがわかります。

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