2012年05月14日

アオジとノジコで歴史を実感

 生物の多様さは、たくさんの種類が同じ地域にいるのを見ると実感できます。前回のカエルの話題もそうでした。一方で、よく似た2種類が別々の種類として歩んでいるのを見るとき、改めて生物の多様さを実感することがあります。

 ホオジロという小鳥の仲間はそれぞれよく似ていて、ユーラシア大陸に約40種類が分布しています。そのうち、アオジとノジコ(さらにクロジ)は、互いにごく近縁であることがわかっています。写真はいずれもオス。アオジは目のまわりの黒や背中の茶色などが明瞭で、ノジコは全体にやさしい色調です。ノジコの方がひとまわり小さい鳥です。

アオジ背面トリミング.jpg
<アオジ背面>
ノジコ背面トリミング.jpg
<ノジコ背面>

 アオジは本州の高原から北海道、東シベリアで繁殖し、個体数も多い鳥です。ノジコは世界でも本州の北半分だけ、しかも局地的にしか繁殖せず、個体数は1万羽以下ともいわれる少ない鳥です。
 日本列島が大陸と分かれたのはおよそ1千万年ほど前ですが、その後、本州という小さな島で独立種となった一派がノジコで、大陸を拠点に勢力を拡大したのがアオジなのでしょう。その勢力の差の原因はわかりませんが、種が完全に分かれたのち、アオジが南へ分布を広げ、本州でノジコと分布が重なったのでしょう。
 それにしても、生粋の日本生まれといえるノジコが、その萌黄色や美声から日本人に愛されてきたのは、偶然でしょうか。

アオジさえずりトリミング.jpg
<アオジさえずり>

ノジコさえずりトリミング.jpg
<ノジコさえずり>

 現在、春を迎えた高原では、アオジとノジコが同時に見られます。大地を動かし、種を分化させた時間的スケールにも圧倒されますが、両者がこうしてまた出会った史実にも、ある感慨を持たずにはいられません。





posted by あーすわーむ事務局 at 13:59| Comment(0) | なし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。