2012年09月25日

マルハナバチにぎわう秋の草原

 生きものの進化は、特殊化ともいえます。それぞれが特殊化していけば、全体としては多様化することになります。秋の野山では、花の色や形も多種多様ながら、それを利用する昆虫たちの種類や行動の多様さにも、さすが、億年単位の歴史を感じさせられます。

オオマルとトラマル.jpg
タケニグサに来たオオマルハナバチ(左)とヤマトリカブトに来たトラマルハナバチ

 マルハナバチは賢くて器用。この時期、この時間には、どの花がよく蜜を出しているということをしっかり覚え、集中的にそこへ通います。同じ種類同士で花粉をつけてまわってもらえるので、花は好都合。ほかの虫が来にくく、マルハナバチだけが蜜を採れるように、複雑なつくりの形を進化させた花がたくさんあります。

ツリフネソウに出入りするトラマルハナバチ.jpg
ツリフネソウに出入りするトラマルハナバチ。蜜は花の奥の細く巻いた部分にある。
花の天井から雄しべが吊り下がっているので、ハチがもぐると背中に花粉がつく。
ハチの背中が金色なのは、花粉がついているため。


 花粉も集めるマルハナバチ。後ろ足につけた「花粉団子」の色は、訪れた花によって違います。早朝、あざやかなオレンジ色の花粉団子をつけたオオマルハナバチを見かけました。夜の花のマツヨイグサがまだ閉じておらず、そこで花粉集めをしていたためです。アザミに来ていたトラマルハナバチの花粉団子はしま模様。二度、三度と、花の種類を変えたのでしょうか。

花粉団子.jpg
メマツヨイグサに来たオオマルハナバチ(左)とノアザミに来たトラマルハナバチ。
花粉団子の色に注目。


 オオマルハナバチは「盗蜜」という行動を行います。花にもぐらずに、外側から蜜のある部分に穴をあけ、蜜だけ失敬するのです。花は花粉を運んでもらえず、裏切られたことになります。ふと見ると、セイヨウミツバチも盗蜜しているではありませんか。自分で穴をあけたのでしょうか、それとも、オオマルがあけた穴から蜜を吸っているのでしょうか。

盗蜜.jpg
ツリフネソウから盗蜜するオオマルハナバチ(左)とセイヨウミツバチ

 ホンシュウハイイロマルハナバチは、東北地方の一部と、長野県の一部に隔離分布する種類です(北海道にいるハイイロマルハナバチの亜種)。最終氷期が終わって以降、しだいに分布をせばめた遺存種です。休耕田では、ハイイロマルハナバチはクサフジの細かい花によく来ます。オオマルやトラマルは体が大きいため、この花にはほとんど来ません。一方、ツリフネソウが咲いていても、ハイイロマルハナバチはほとんど素通り。ハチたちは食物を分けることで共存しているともいえますし、花がハチの種類を使い分けていると見ることもできます。ハチを個体ごとに追跡しようか、種類ごとに見ようか、目移りのする秋の草原です。

ホンシュウハイイロマルハナバチ.jpg
ヒルガオ(左)とクサフジに来たホンシュウハイイロマルハナバチ


posted by あーすわーむ事務局 at 16:05| Comment(0) | なし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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