テントウムシ(ナミテントウ)にいろいろな斑紋のものがいることはよく知られています。コナラの葉で交尾している2匹は、明らかに赤い星の数が違います。右の方にはアリマキと、アリマキが出す甘い汁をもらうクロクサアリ。テントウムシはアリマキの天敵ですから、このアリたちは、アリマキをテントウムシから守っているに違いありません。クロクサアリは集団でアオムシを襲って食べたりもします。コナラの木の根元に、彼らの巣がありました。
朝日を浴びに林縁に出てきたムモンアカシジミ。数が減少しているチョウです。このチョウは、クサアリ類の発生しているコナラやクヌギの木を探し、卵を産みます。幼虫は木の芽も食べますが、やがてアリマキの出す汁を吸い、アリマキそのものも食べる肉食性になります。この幼虫はアリに襲われないよう、アリマキと同じ匂いの物質を出しています。そのため、クサアリは何となく幼虫につきまとい、なかば騙されて、幼虫を保護します。
幼虫はクサアリの通り道でさなぎになりますが、そこからが大変です。さなぎから羽化すると、もう匂いは出ないからです。たちまちアリに囲まれて、飛べないうちに襲われてしまうこともあります。翅が伸びきるまで、新成虫は安全な場所に、命からがら走っていきます。
朝のムモンアカシジミを反対から見ると、左側の羽がちぢれたようになっていました。アリに襲われる中で、上手に羽化できなかったのでしょう。
ムモンアカシジミの生活史をぜひご参照下さい(『軽井沢の蝶』より)
雑木林はどこもかしこも昆虫の王国。ツアーの魅力はたっぷりです。
コナラの切り株に産卵するクロナガタマムシ 鉈目にひそむスジクワガタ