(左から)キクイタダキ、ヤマガラ、ヒガラ
シジュウカラなどを見ていると、「種類ごとに違う採食習性があるからこそ、混群の意義がある」ということがよくわかります。ヒガラやキクイタダキは針葉樹の枝葉でアリマキなどの細かいものをついばみ、シジュウカラはしばしば地上で落ち葉をめくっています。コガラは枯木を壊すようにむしり、枝の下側にしがみつくのも得意。コガラやヤマガラは、樹皮のすきまに種子を埋め込みます(貯食)。そうした行動を互いに見ながら、「そうか、そこか」とまねしたり、かすめ取ったりする相利関係があるのです。
2〜3月になると、軽井沢の農耕地にヒバリたちが戻ってきて、なわばり分散をします。ここでは、毎年4月の初めに野焼きが行われますが、そんな日も、オスたちは煙に巻かれたなわばりを見捨てず、空でさえずり続けます。
しかし、4月下旬に13cmの積雪に見舞われた朝、彼らはついになわばりを解除しました。再び冬と同じ、7〜8羽の群れになっていたのです。ヒバリたちは、雪の積もりにくい水辺や、雪の融けやすいアスファルトのわきなどで、中にホオジロ、ホオアカ、カシラダカ、カワラヒワなどを交えて、群れ生活に逆戻りしていたのです。
食事場所が限られる場合、わずかな資源をめぐってなわばり争いするより、仲たがいしないルールにして、共同で食物探しや敵への警戒をする方がコストが少ないので、この切り替えは理にかなっています。これはおそらく内分泌系も関係したスイッチの切り替わりでしょう。